「ITエンジニアでの海外転職に興味がある。どのようなことをまず知っておくべきなの?」
そんな疑問についてこの記事ではお答えします。
私はWeb開発者として現地カナダ企業で働いてきました。
今回はその経験も踏まえてITエンジニアの海外転職についてお伝えします。
海外転職では日系企業への就職か外資系企業への就職がで大きく違う
まず海外転職と言っても、日系企業への転職か、外資系企業への転職かで取るべき手段が変わってきます。
ここではまず外資系(もしくは現地企業)への就職について紹介します。
外資系企業への海外転職の場合
外資系企業への海外転職の場合で最も問われるのが実務経験です。
ではどれぐらいの実務経験があれば採用されるのかというと、最低でも2〜3年ぐらいの実務経験が必要です。
加えて国によっては学歴も重要視されるため、コンピューターサイエンスの学位があった方が職を得やすいでしょう。(しかし必須ではないです)
また現地の言語でコミュニケーションが取れることも必要です。
特に何かトラブルがあった際に、適切に状況を説明する能力が求められます。
TOEIC換算で最低でも850点以上はあった方がいいでしょう。
と言っても、外資系・現地企業でTOEICの点数を重視することはないので、あくまで目安の点数となります。
これらのハードルをクリアする必要があります。
日系企業への海外転職の場合
続いて日系企業への海外転職の場合ですが、大きく駐在員か現地採用かの2つに分かれます。
ここではそれぞれの道について説明をしていきますね。
日系企業の駐在員の場合
日系企業の駐在員として派遣される場合は、エンジニアとしてというよりも、現地スタッフのマネジメント側として派遣される場合が多いです。
この場合、必要なのはエンジニアとしてのスキル・知識はもちろん、マネジメント能力が重要になります。
特に他国のスタッフと日本支社・本社との間に立ってやり取りを行う、適切にチームをまとめあげることが期待されています。
待遇も日本と同じか、大手企業であれば様々な手当が付くことが多いです。
ただ駐在員のポジションでの求人数はそこまで多くないため、転職エージェントに登録するなどして求人を幅広く見る必要があります。
以下の記事で海外転職におすすめの転職エージェントを紹介しているので参考にしてみてください。
日系企業の現地採用の場合
日系企業の現地採用ははっきり言っておすすめできない道です。
現地採用の場合、基本的に現地水準の条件での採用となります。
そのため現地の賃金、雇用体系での採用となり、場合によっては駐在員と同じかそれ以上の仕事をしていても給料が安い、ということがあります。
また伝統的な日系企業の場合未だ終身雇用・年功序列が根強く、現地採用社が本社社員になる道もそもそもなく出世できない、ということもあります。
では現地採用での経験が日本に帰って生かせられるかというと、現地採用でもスキルアップできない場合はあまり次につながらないです。
理由はエンジニアの職種自体、日本で働く分には英語力がそこまで求められないということ。
そのため英語力が多少あってもスキルレベルが低いと日本で次の職を見つけるのに苦労をします。
そういう点からも日系企業の現地採用はあまりおすすめできません。
海外で働くには1にも2にも就労ビザが必要
まずは海外で働くにはどの国で働くにせよ、その国の就労ビザが必要となってきます。
この就労ビザの取りやすさも国によって様々。
大まかな傾向としては、先進国の方が就労ビザは取りにくく、開発途上国の方が就労ビザが取りやすいです。
ただ先進国の中でもビザの取りやすさはさまざまなので、まずは自分が行きたい国、興味がある国の就労ビザの取得方法について調べてみましょう。
次にそれぞれの実務経験に応じて、特に現地企業への転職する場合において取るべき具体的な方法について解説していきます。
エンジニア未経験・新卒の場合
まずエンジニアが未経験・新卒の場合ですが、この場合日本で職務経験を積むか、海外で現地の学校に留学した後就職活動をするか2つの方法があります。
海外では「会社が新人を育てる」という文化はなく、基本的に「即戦力」採用です。
そのため日本のように未経験者でも採用する、未経験者募集の求人自体が皆無。
ではどうするのかというと、エンジニアリングが学べる学校を卒業し、必要なスキルを得るしか道はありません。
ただ前述したように4年生の大学に通い、コンピューターサイエンスの学位を取る必要があるかというと、必ずしもそうとは言えません(あれば大きなプラスとはなりますが)
特に既に日本の大学を卒業する場合などは、さらにもう一度海外の大学に通うのは時間もお金も負担がかかりますよね。
海外でも日本のように職業スキルを身につけるための「専門学校」があり、そのような専門学校を卒業すれば未経験でも就職できる可能性が開けます。
多くは1年もしくは2年制のカリキュラムでディプロマ(Diploma)の資格が取れるところが多いです。
もちろん海外留学をするには、必要なのが語学力となってきます。
海外留学を通して現地企業への就職を考えている方はこちらの記事を参考にしてみてください。
海外就職を見据えての海外留学先の調べ方
もう一つの方法が日本で職務経験を積む方法です。
この場合は、日本でエンジニアとしてある程度職務経験を積んでから海外の現地企業への就職を目指します。
特にコンピューターサイエンスの学位を持っていると、日本で実務経験を経てから海外での就職活動でも有利に働きます。
ただコンピューターサイエンスの学位を持っていることを必須条件にしてない求人もあるので、それに見合う実務経験を積めば道は開けます。
日本で実務経験を積みつつ、働きたい国の語学の勉強をして就職できるレベルまで持っていくといいでしょう。
以下新卒、第二新卒、未経験の方向けの記事でさらに詳細に解説しているので参考にしてみてください。
ITエンジニアとしての経験が3年以上ある場合
既にITエンジニアとしての経験が3年以上ある場合は、実務経験があるとみなされます。
現地企業に挑戦することもできますが、そこで必要となるのが最低限の語学力です。
英語圏での就職の場合、最低でも英語での面接を突破する必要があります。
高いスキルレベルがあれば英語力が多少なくても採用される可能性は上がりますが、それでも最低限意思疎通できるレベルの英語力は求められます。
採用される率 = 英語力(語学力) ✕ スキルレベル
の方程式で考えるとわかりやすいかと思います。
もし今全く海外転職するための語学力がない場合は、就職に十分な語学力を身につけることをおすすめします。
以下でおすすめの英会話スクールと独学での英語上達方を解説しているため参考にしてみてください。
必要な語学力とスキルがあれば、あとは求人に応募するのみですが、海外で働くには働けるビザが必要になります。
ビザを得るには以下3通りがあります。
ワーキングホリデーを活用する
一つはもし30歳以下であればワーキングホリデーを有効活用する方法です。
ワーキングホリデーは国によって制度は違いますが、最長1年間就労もできるビザとなります。
雇用主がビザのスポンサーをしなくてもいいので、就職しやすいのがメリットです。
通常語学留学で使う人が多いですが、海外転職を目指すのであれば語学留学で使用するのは非常にもったいないので要注意!
もちろん最長1年の制限付きなので、それ以降は企業に就労ビザをサポートしてもらう必要はあります。
ただワーキングホリデービザを利用して、一旦働きぶりを見て納得してもらえる機会があるので、就労ビザ発行も頼みやすくなります。
企業にスポンサーになってもらう
二つ目は企業に就労ビザのスポンサーになってもらう方法です。
この方法が最もメジャーで、かつ多くの人がこの方法で海外就職します。
もちろんまずは企業と面接をして内定を取ることが前提です。
さらに面接の中でビザのスポンサーをお願いし、承諾してもらう必要があります。
現地にいた方が直接会って面接できるので有利ですが、現地にいなくてもオンラインでの面接をして選考してもらえる企業もあります。
ですので日本から直接企業に応募することもできます。
なかなかハードルが高い道かもしれませんが、それで採用される可能性はゼロではないのでトライしてみる価値はあります。
もしくは外資系に強い転職エージェントを活用するのも手です。
転職エージェントを活用すれば、就労ビザが必要なことは折り込み済みなので、就労ビザを企業にスポンサーしてもらう前提で話が進められます。
ITエンジニアの海外転職におすすめな転職エージェントを下記にまとめていますので参考にしてみてください。
永住権を取ってしまう
3つ目の方法が、いきなり永住権を取ってしまう方法です。
永住権を持っていれば合法的にその国に滞在できるので、もちろん企業は就労ビザを発行する必要がありません。
永住権と聞くと「国籍を変える」と思うかもしれませんが、国籍を変える必要はなく、単純にその国に在住できるビザになります。
「いきなり永住権なんて取れるの?」と思うかもしれませんが、条件を満たせば取れる可能性はあります。
例えばカナダの永住権は、各条件が点数化されており、その点数を満たせば永住権が取れる決まりにになっています。
就労ビザを持っていればもちろん大幅に有利なのは確かですが、国を問わず働いた職歴が点数化され、合計点数で永住権申請が可能です。
このように一度もその国で働かずしても、永住権を取れなくはない決まりになってる国もあります。
ハードルはもちろん高いですが、選択肢としてなくはありません。
ただしっかりと情報収集をし、計画的に進めていく必要はあります。
エンジニアとしての経験が5年以上、またはハイキャリアな場合
エンジニアとしての経験が5年以上ある、もしくはキャリアがかなりある方の場合、スキルレベルで語学力をカバーして直接現地就職を目指すことも可能です。
その場合、エンジニアの職種にもよりますが、もしプログラマーであればGithubへのコミットや、Linuxなどのオープンソースへの貢献、また個人的に立ち上げたWeb・アプリサービスなどがあればとてもプラスになります。
仕事ではなく趣味でも構わないので、そのような実績を携えて海外で就職活動をすれば道は開けやすいでしょう。
もちろん働けるビザを取る必要はあり、その方法は「ITエンジニアとしての経験が3年以上ある場合」で説明した通りです。
以下でハイキャリアの方へのおすすめの海外転職方法を解説しているので参考にしてみてください。
国内で外資系企業に転職する道も
上記で「海外への転職はハードルが高いなぁ。。」「日本でもせめて海外企業のような環境で働きたい」と思っている方は国内の外資系企業への転職も考えられます。
ただ注意したいのが、外資系企業でも日本の企業と変わらないところもあれば、完全に外資系企業で社内では英語バリバリ・社員も多国籍な方ばかり、と企業によって全く違います。
そのため会社の内部事情を知るためにも転職エージェントに登録して幅広く情報収集するのがおすすめです。
以下で外資系企業への転職におすすめの転職エージェントを紹介していますので参考にしてみてください。
以上、ITエンジニアとして海外転職を成功させるために知っておきたいことでした。
参考にしてみてください。